phosphorescence



 私は、この世の中に生きている。しかし、それは、私のほんの一部分でしか無いのだ。
同様に、君も、またあのひとも、その大部分を、他のひとには全然わからぬところで
生きているに違いないのだ。(太宰治「フォスフォレッセンス」)

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■□ 頬杖や土のなかより春はくる  大木あまり
春が土の中から来る、というのは、
すこし独断の入った言い切り。
実際には、春はいろんなところから来るし、
いろんなところに感じられる。

でもここで「土のなかより春はくる」といったことで、
土中の種の見えざる芽吹きを、
なまなましく感じることができる。

卓に頬杖をついている主体の足元で、
ぐんぐんと押し上げるようにしてあがってくる生命エネルギー。
そのエネルギーの圧力が、頬杖の下へ向く力とどこかで
こつんとぶつかって、何か微妙な力の拮抗関係を
保っている。

最後に、これは伏流水のように効いている、
という程度のことだけど、
頬杖という語には、「杖」という字が潜んでいる。
杖は、土について歩くを助けるもの。
頬杖という行為にも、
どこか土の匂いが加わっているように感じられることが、
頬杖の作者の生命の匂いを
すこしだけ強くしているように思える。

最新句集『星の木』(ふらんす堂 2010年9月)より。
大木あまりさんの新句集、ずっとずっと待ってました。
俳句でありながら、ここまで自由とは。
作者の呼吸、俳句形式、季語、時代(読者)が、
ぜんぶ一体となったその奇跡的な気分が、
どんな句にもあるって、それはすごいこと。
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